HAPPY PIG PROJECTとは?
〇HAPPY PIG PROJECTとは
「ひとりはみんなのために。みんなはひとりのために」
クラスの目標としてよく掲げられるスローガンです。なるほど確かに善い言葉でしょう。しかし、改めて考えてみるとこのスローガンはそう簡単に守れるようなものではありません。
まず「ひとりはみんなのために」とは言うけれど、なぜ自分一人が他の誰かのために動かなければならないのでしょうか。「みんな」は自分のことよりも大切にしなければならないことなのでしょうか。そして「みんなはひとりのために」とは言うけれど、そこまでする必要はあるのでしょうか。何人かの手助けがあれば十分なことも少なくありませんし、そうであれば「みんな」に何かをしてもらうのはかえってお節介かもしれません。さらにこれらに加えて、私たちは往々にして「誰かがやってくれるだろう」と思う生き物であることも忘れてはいけません。
それでは、あんなスローガンなんて無視すればよいのかと言うと、そういうわけでもありません。「ひとりはみんなのために。みんなはひとりのために」と動けるような共同体はとても居心地のよい理想的なものであるはずです。現代では個人主義が強い力を持っているため少し存在感が薄れていますが、相互扶助の考えは形こそ変われど、古くから我々の社会に根付いていました。しかし残念なことに、完全な形で「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために」が達成されたことはありません。
目標が達成されない原因の一つとして、方法論の問題ではなくそもそもの土台が出来上がっていないことがよく挙げられます。文化を根付かせるには、文字通りその土台を耕す(cultivate)必要があるのです。そして、この「HAPPY PIG PROJECT」はまさしく、我々の凝り固まった常識を耕すためのプロジェクトなのです。「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために」という学級目標のようなものを、もっと大きなスケールで、かつ真剣に達成を目指すというのもなかなか楽しいものではないでしょうか。
〇なぜ「はっぴぐ」達を回すのか
「募金」は、様々な人助けの形の中でも比較的取り組みやすいものだと考えられていると思います。しかしその一方で、不思議と私たちは積極的に募金をすることがありません。身近な事実としては、日本は先進国の中でも募金をする人の割合が低いということが挙げられます。それが宗教的な違いによるものなのか、文化的な背景の違いによるのかは定かではありません。しかしその根底には「ひとりはみんなのために。みんなはひとりのために」のスローガンに対して抱いた、あの違和感があるのかもしれません。
綺麗ごとを言うだけでは人を動かせない。であるならば、自分の行いが目に見える形で、そして触れられる形で他者のためになっていく様子を体感してもらえばいい。自分のしたことが「意味のあること」だと感じられるような方法を選べばいい。そう考えたからこそ、私たちは3匹の「はっぴぐ」を世に放つことにしたのです。人々の想いが詰められるたびに3匹の「はっぴぐ」達は重くなっていく——。次に受け取った人たちは、これまで回してきてくれた人たちの「想い」を「重み」として感じることができる。そして善意のリレーが長く続けば続くほど、それはより大きな幸せを生むための種になることができるのです。